2009年3月30日月曜日

『ソウルフルな経済学』


ダイアン・コイル『ソウルフルな経済学』を読む。装丁も邦題もキワモノのような印象を与えるが、まじめな、現代の新古典派経済学の研究状況を紹介した好著である。これを読むと、シカゴ流の新古典派原理主義者のような研究者はもはや存在しないかのようである。内生的成長、クルーグマンの経済地理学、行動経済学、情報の非対称生、制度、文化やネットワーク(経済学の他の社会科学領域への浸食から社会学の諸概念の経済学への取り込み)、ゲーム論(進化ゲーム)、シミュレーションを取り入れた最近の研究動向を紹介。さらに実証経済学ーーとくにミクロ計量経済学の発展ーーも、政策形成や人間行動のより深い理解を可能にするという。うがった見方かもしれないが、意外と従来異端派と呼ばれる研究も評価している。たとえば、Bowles, Ormelod(同僚だから?)が高く評価されている。

実証を重視する著者らしく、マジソンのGDPデータ(Pen World Tableの国際比較データ)の紹介から入る所は面白い。「…経済学では市場も制度なのであり、私たちは非常に実証主義的なのである」(358)

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