2010年12月28日火曜日

藻谷著『デフレの正体』


藻谷浩介著『デフレの正体——経済は「人口の波」で動く』を読む。生産年齢人口の低下が内需の不振を生み出しいると見る。ミソは成長率ではなく、絶対数でみるところにある。団塊の世代(およびそのジュニア)の就業人口の絶対数の変化が消費の不振、内需の停滞を生み出すというのは、かつて吉川洋氏が戦後の高度成長を世帯数の増加で説明したのと似ている。

いずれにせよ、現在の不況が景気循環に起因するものではなく、人口の波という構造的な要因に起因するものだとする論調は面白い。また、統計的な手法を使うこと無く、公表統計を丹念にフォローし、推移をまとめるだけで説得的な議論を展開しているのも参考になる。

2010年11月30日火曜日

Scrivenerアップグレード


マックでペーパーを書くための定番ソフトScrivenerを2.0に更新。最近はペーパーをまとめるさいの必携ツールとなりつつある。バージョンアップして何がどう変わったかはこれから試しみ予定。

2010年11月11日木曜日

Boeri & Ours Labor Econ


T. Boeri and J. van Ours: The Economics of Imperfect Labor Markets.の第1章、第10章(雇用保護法制)および第12章(積極的労働市場政策)がダウンロード可能。また、各章の講義スライドとstataデータがここからダウンロードできる。

2010年11月1日月曜日

今日のメニュー

2000メートル3本
合間に筋トレ系
およそ2時間

2010年10月30日土曜日

筋トレ再開

ほぼ1年ぶりに筋トレを再開。近づきつつある人間ドック対策。ほぼ3時間ほど、台風接近で大荒れの午後に汗を流す。おかげでガラガラ、ゆっくりマシーンが使えて充実の筋トレ

2010年10月6日水曜日

桐野夏生「メタボラ」


今回の車中の楽しみとして、桐野夏生著『メタボラ』を選ぶ。単行本の形で出版された当時は、現代の格差社会を描いた小説として話題を呼んだものということで記憶に残っていた小説である。文庫本化を機に手に取ってみる。たしかに、正社員となることに失敗し、派遣労働者となり、さらには外国人労働者と最底辺で交差しあう現代の若・青年層労働者の実態をよく描いている。派遣と請負の違いや、労働者と現地企業の中間にはいる派遣会社や請負会社の実態をよく調べている。

だが、小説としてはそれほど面白いものではない。上巻と下巻ではちがった世界であり、主題もずれてきているような印象を受ける。最後は沖縄での政治活動…と、どうみてもリアリティ(想像力かもしれない)が希薄になり、小説の世界に引き込まれることもなく、惰性で読み終える。

2010年9月21日火曜日

『「分かち合い」の経済学』『第4の手』

今月末も東奔西走。新幹線のポイントがたまる、たまる。今回選んだ車中のお供は神野直彦『分かち合いの経済学』、ジョン・アーヴィング『第4の手』。『分かち合いの経済学』は内容よりも著者の善良さが伝わる好著。まさに「ベバリッジとケインズの良い所を合わせ持った経済学者」である。アーヴィングは相変わらず「人生は不幸で満たされているが、それが人生」という哲学が貫かれている。もっとも、そんなことを考えなくともストーリ展開にひきこまれ、十分、楽しませてくれる。

2010年9月7日火曜日

fondazione RODOLFO DEBENEDTTI

fRDBは労働市場、社会政策等の研究情報を提供している。ヨーロッパの労働市場制度改革データベースは有益

2010年8月29日日曜日

斉藤貴男著『消費税のカラクリ』


斉藤貴男著『消費税のカラクリ』を読む。

消費税は国税滞納額ワーストワンという事実(p.30)

(1)法人税はもとより、所得税の累進率の大幅な低下。これに呼応した消費税税率の引き上げ論調
(2)景気変動に左右されない安定的な税源という虚妄
(3)「益税」キャンペーンの嘘→「損税」? 消費税はいったい誰が負担しているのか
(4)仕入れ税額控除という仕組み→派遣労働者
(5)輸出企業


ジャーナリストらしく実態を踏まえ、数々の問題点を指摘して行く手法は見事。一気に読ませる。大手新聞社の調査能力はどうなっているのか、あらためて疑問を感じさせる。

2010年8月28日土曜日

丸谷才一『女ざかり』

今月は新幹線に乗る機会が多く、車中のお供として丸谷才一著『女ざかり』を選ぶ。もう古典的と呼んでもいいかもしれない。これまで丸谷才一は食わず嫌いで、まったく読んだことがなかったが、筒井康隆が傑作と評価しているので、それではと選んだ次第。ディケンズ的かもしれないが、個人的趣味から言えば、まったく合わず、何度放り投げようかと思えるほど…。それでも、代替本を用意してなかったので読み終える。筒井風に言えば、まったく教育されないダメな読者かもしれないが、これはどう読んでも評価できない。娯楽なき時代の、文壇内のウチ向き小説のように思える。何でヒットしたかまったく理解できず…ダメな読者です。

2010年8月16日月曜日

現実逃避


締切が迫り、またもや現実逃避。今回の現実逃避は村上春樹著『1Q84 Book3』。Book2を読み終えたときは、これで、完結でも良いのでは、と思ったが、Book3を読み終え、1Q84はBook3が不可欠なピースであることを納得。当初の想像以上にメッセージ性が強い本である。いつもながらファンタジーにリアティを与え、現代世界を語る技量には圧倒される。十分に楽しませてもらいました。

2010年7月23日金曜日

Handbook on Impact Evaluation

Handbook on Impact Evaluation: Quantitative Methods and Practices, S. Khandker, G. Koolwal and H. Samad, World Bank, October 2009.

パート1においては、Impact Evaluationの理論・方法が紹介され、パートⅡにおいてはstataを利用した分析手法が紹介されている。stataのサンプルデータ等はこちらから。また、本書のpdf版はKhandkerのページからダウンロードできる。

2010年7月2日金曜日

iPadとkeynote


「しまった」というか、「やっぱり」というか、iPadを購入してしまった。大きなiPod touchであることは間違いないが、いろんなレビューで言われているが、この「大きさ」が革命的である。ついにお茶の間、インターネットの時代が来たという感じである。ソファーに寝転びながら銀色の石版を抱えてのインターネット、iTunesのニュース、映画視聴はたまりません。謳い文句のiBooksもこれから充実してくるであろう。日本ではやはり漫画かなあ〜。pdfにしてしまえば、何でも行けるから、これからどんどん増えて行くと思う。PDFにすれば、すべてiPadでみることができるから、自作のiBook文庫ができそうである。

残念な点はkeynoteとiPad用のkeynoteが完全互換ではないという点である。この点は今後ぜひ改善して欲しい。さらに言えば、発話者ノートも削除される。これではプレゼンの力が半減(それ以上)である。

2010年5月29日土曜日

吉田修一『悪人』


いつもの悪い癖で、事務作業等の締切が迫ると、現実逃避か、ついつい小説に走ってしまう。今回の現実逃避は、吉田修一『悪人』。文庫版化になったの機に手に取る。文庫版化は映画される前宣伝らしい。文庫本の帯をみると、主演は妻夫木聡と深津恵理らしい。小説のイメージに近いかもしれない。映画も見に行こうか、迷う所。登場人物の多くが重層的に描かれているのに、学生の増田だけが型通りの「悪役」だったのは少し残念。ともかく、週末を楽しめました。

2010年5月13日木曜日

湊かなえ『告白』


ベストセラー湊かなえ『告白』が文庫本になったのを機に購入。ミステリーに固有のご都合主義的な部分も無きにしにもあらずだが、関係者のモノローグで展開されるストーリー展開は飽きせず、いっきに読ませる。でも、最後は「え〜どうやってそんなことができるの?」ということで終わる。すべてはマゾコン少年の、はためいわくな殺人計画というところでしょうか。出張の際に新幹線の中で読むのにベスト。

2010年5月11日火曜日

Bertola & Prete, Openness, Financial Markets, and Policies

Bertola & Prete(2008), Openness, Financial Markets, and Policies: Cross-Country and Dynamic Patterns.

1週間ほど風邪のためにまったくペーパーが読めず、読み終えるのに随分長くかかってしまったが、ようやく読了。
国別パネルデータによって、経済統合(開放)が政府の再分配を引き上げる、ということを指摘。しかし、この効果・関係は金融市場の発達によって弱められる。つまり、金融市場の発達は政府再分配政策を代替するという点が独自な論点(この論点はBertolaの一連の論文によって指摘されているとおり)。なお、Agell(2002)の社会保険志向制度の分析もテストされている。

2010年4月22日木曜日

Gingano, et al.The effects of employment protection legislation and financial market imperfetions on investment: evidence from a firm-level panel of E

Federico Gingano,Marco Leonardi,Julian Messina,Giovanni Pica (2010) The effects of employment protection legislation and financial market imperfetions on investment: evidence from a firm-level panel of EU countries
Economic Policy, January 2010 pp.117-163.

ようやく読み終える。随分、時間がかかってしまった。雇用保護法制(EPL)が資本・労働比率、投資および労働生産性に与える効果を検討したもの。これまでの議論に比べ、2つの点で興味深い。第1に、金融市場の不完全性とEPLのjoint効果を検討している点、第2に、ミクロデータを利用している点。説明のロジックと主張は以下のとおり:
(1)EPLは労働のは再配分に影響を与える。労働を調整するコストの上昇→採用、解雇の低下⇨ジョブフローのスローダウン
(2)EPLによって誘発された労働の再配分の不完全性は投資に影響を与える。企業が「調節の難しい」労働要素に代えて調整の容易な他の生産要素――すなわち資本――を利用しようとするため。
(3)しかし、資本利用は、企業の直面する流動性制約によって阻害されるかもしれない。(←まあ、これがミソです)

2010年4月5日月曜日

『経済・金融のための数学』


藤田康範『経済・金融のための数学』。ちょっと変わった経済数学の入門書。中学生(?)レベルから多変数の制約つき最適化まで持って行く。もっともこの本の特徴は数学の経済学への応用部分かもしれない。無理なく、経済学の問題が解けるように工夫されている(もっとも、やはり、並行して経済学の解説を受けないと、初学者にはちょっとつらいかも…)。ストルパー・サミュエルソンの定理が紹介されるあたりはちょっとマニアックかも…推薦書に入れておくか。

2010年3月25日木曜日

Flexicurity特集 in CESifo DICE Report

少し(?)古いが、CESifo DICE Report 2008/4のFlexicurity特集を読み終える。基本的には、グローバル化した製品市場競争と整合的な労働市場改革をどうあるべきか、ということ、そのためにEPL改革が中心議題となっている。掲載論文は以下のとおり:

Flexicurity as a Policy Agenda
(Peter Auer and Bernard Gazier)
Flexicurity: Lessons and Proposals from the Netherlands
(Lans Bovenberg, Ton Wilthagen and Sonja Bekker)
Flexicurity in Denmark
(Torben M. Andersen and Michael Svarer)
European Employment and the Flexicurity Option
(Luca Nunziata)
Reduction of Employment Protection in OECD Countries: Its Driving Forces
(Wolfgang Ochel, Oliver Röhn, Anja Rohwer and Thomas Stratmann)

2010年3月17日水曜日

MIT OpenCourseWare: Single Variable Calculus

ここ数日、iTunes Uにおいて公開されている、Jerison教授によるSingle Variable Calculusを聴講。とても分かりやすい。こうした講義を受けていたならば、数学嫌いにならなかったのに…と思いつつ、楽しむ。講義ノートもMIT OpenCourseWareのホームページからダウンロードができる。iTunes Uの中には資料に音声をつけたものも多いが、MITのオープンコースは実際の講義を公開しており、しかも、映像もきれい。大学に行くまでもなく、こうした講義で十分学べる。

2010年3月10日水曜日

「経済・経営数学入門」


『悩める学生のための経済・経営数学入門ー3つの解法テクニックで数学アレルギーを克服!』というスゴいタイトルの本。MapleでヒットしたのでMaple本と思いきや、まったくMapleには触れられておらず、Mapleで描いた図があるだけ…。奨められるかどうかは迷うところ…中途半端かな。いずれにせよ、終わり。

2010年3月7日日曜日

Hurt Locker



"Hurt Locker"を観る。イラク・バグダッド郊外におけるアメリカ軍の爆弾処理班を描いたもの。全編緊張感が漂い、まったく飽きさせない。スナイパーに対応しながらの爆弾処理、砂漠で狙撃手との闘い、sucide bombにされたイラクの一般人救出の失敗等、高い緊張感の下でのスピード感あふれる映像を作り出している。もっとも、イラクに出兵したアメリカのベテラン兵からは現実離れしているとの評価も多い。

2010年3月3日水曜日

iTunes UをFront Rowで表示

iTunesUがFrontRowで表示されないので…どうしかなあ。調べて見ると、表示されないらしい。で、iTunes Uのデータの「情報をみる」→「オプション」で「メディアの種類」を「iTunes U」から「Podcast」に変更。という力わざで無事Front Rowに表示される。

2010年2月28日日曜日

District 9


District9を観る。異星人難民が宇宙船で南アフリカ・ヨハネスブルグ上空にやってきてから28年後。舞台はスラム化したエイリアン隔離地区「District 9」。映画はドキュメンタリータッチで展開し、トランスフォーマーのようなSF調のバトルシーンもふんだんに盛り込まれ、飽きさせない。というSF映画だが、グロテスクなエイリアンに同情してしまう程、差別、抑圧されたもののヒューマンドラマとしても観ることができる。舞台のスラム街は南アフリカのもの。映画の背景にあるのは南アフリカのアパルトヘイト政策とケープタウン第6区 (District 6) 。

2010年2月25日木曜日

Salvatori,, Labour Contract Regulations and Workers' Wellbeing

Salvatori(2010) Labour Contract Regulations and Workers' Wellbeing: International Longitudinal Evidence. EPLとRTE (Restrictions on the use of Temporary Employment)が労働者の厚生に与える効果。同効果に対する理論と実証を簡単にレビューした後で、厚生をjob satisfactionで代理させ、ミクロデータ(ECHP)を利用し、実証分析(ランダム効果順序ロジットを利用)を行う。実証結果——テンポラリ雇用に対する規制を緩和する、だが、正規労働者の解雇コストを不変とするような改革からは正規労働者も臨時労働者も便益を得る。

2010年2月18日木曜日

Macro Data 4 Stata

Macro Data 4 Stata.インターネット上に提供されている、多くのマクロデータをStata形式に変換して提供。Stataで利用する際にはもちろん便利であるが、インターネット上に分散した多くのマクロデータを収集したサイトとしても有益。なお、転載許可を得られていないデータも一部もある。

2010年2月14日日曜日

Financial Opennessデータ

Chinn-Ito (2006)によるfinancial opennessデータ。エクセル形式でダウンロード可能。

New Measure of Financial Openness," Journal of Comparative Policy Analysis 10(3) (September 2008): 307-320 (with Hiro Ito) [PDF]. Data: Chinn-Ito (2006) Financial Openness measure (data extending to 2007, updated February 2009)

2010年2月13日土曜日

落ちるMacRats

Ratsで遊んだものの、う〜ん、落ちる。よく落ちる。久しぶりにMacをつかっているなあ〜という気分にさせてくれる。長年、Macを使ってる身としては、それほど気にもならないが…、まあ、ゆっくり原因を探りましょう。それに最近はまたRを使い始めているし…。RとStataでほとんどのことは処理できているので、さしあたり、放置。

藤田著『ミュルダールの経済学』


『ミュルダールの経済学ー福祉国家から福祉世界へー』をいただく。これほど有名であると同時に知られていない経済学者はいないであろう。本書によって初めて、経済学と思想が示される。学説史研究の書であるが、現代的な問題意識を基礎に置いた本かもしれない。

2010年2月12日金曜日

郷原信郎『検察の正義』


話題の著(?)郷原信郎著『検察の正義』を読み終える。これまで検察の「裁量」とされていた領域が、社会環境の変化、それにもとづく司法改革により、説明が求められるようになりつつある。それにもかかわらず、検察の体質は旧態依然。お上の言うことはすべて正しいというマスコミやそれに誘導された世間にも問題ありであることは間違いない。個人的には、ちょっと簡単すぎるものの、経済事件の経緯が興味深い。長銀事件はやっぱり無罪でしたか。「公正なる会計慣行」なんてどうにも解釈できるからね。

2010年2月10日水曜日

Financial Oppenness and Growth in 213 Countries

Financial Oppenness and Growth in 213 Countries: A Finance and Grwoth Panel Dataset.包括的なデータセットがIIDEにおいて提供されている。成長と金融の他に、イノベーション(パテント等)、金融の健全性(不良債権の比率等)、制度(経済的自由等)、および政府関係のデータも含まれている。

2010年2月7日日曜日

Mac Rats



Ratsにマック版があることを聞き、早速、購入。時系列分析はこれからはRatsで行う?

2010年2月6日土曜日

Stataモジュール: paragr


係数を比較する簡便な方法を提供。順序ロジット等のパラレル仮定をビジュアル化する。

* Unconstrained gologitの例
sysuse auto, clear
egen money=cut(price), group(5)
gologit money headroom mpg weight length turn displacemen
paragr displacement

Stataモジュール:intgph


Logit等の非線形モデルの交互作用を計算し、結果をグラフに描く。

Stataモジュール: eofplot


主成分分析(因子分析)後に係数(負荷)を描くadoファイル

2010年2月5日金曜日

Invictus


Invictusを観る。南アメリカの大統領マンデラの苦闘と南アのラグビーチームのワールドカップに向けた闘いを重ね合わせて描いた映画。ハンフリーモーガンもマットディモンもうまいが、とくにマンデラ役のモーガンが秀逸。長年の獄中生活から南ア発の黒人大統領となり、アパルトヘイトに終止符を打ったネルソンマンデラのカリスマ性、高潔さを表現している。ディモンは巧いものの、ラグビー選手にしては…? 

2010年2月4日木曜日

世銀「銀行規制・監督」データベース

銀行に対する規制および監督に関する包括的な国際調査データベース。データはExcel形式で提供されている。"requirements and regulatory powers regarding bank entry, ownership, capital, powers and activities, auditing, organization, liquidity, provisioning, accounting and disclosure, incentives for supervisors, deposit insurance, and disciplining powers including bank exit."

小川糸『食堂かたつむり』


小川糸『食堂かたつむり』。何となく記憶に残っていたので、本屋を散策中、中身を見ず、購入。料理と心情を重ね合わせて描いた、丁寧なファンタジーという印象。

2010年2月3日水曜日

Political Instability Task Force

政治的安定性・不安定性に関するデータ。George Mason Universityのグローバル政策センタ―のPolitical Instability Task Force(PITF)

2010年2月2日火曜日

平均処理効果nnmatch

最近傍マッチングを使った、平均処理効果を推定するためのコマンド。
 nnmatch

Campello,et al.(2009) The Real Effects of Financial Constraints

Campello,et al.(2009) The Real Effects of Financial Constraints: Evidence form a Financial Crisis.

信用制約が、企業の異質性(財務制約あり、なし)に応じて、企業の投資等に影響を与えるかどうかを検討。
信用制約はCFOに対するアンケート調査にもとづく直接的指標。また、手法はmatching estimator fo raverage treatment effects()が利用

2010年1月29日金曜日

Murat Seker, Importing, Exporting and Innovation in Developing Countries

Murat Seker(2009), Importing, Exporting and Innovation in Developing Countries, The World Bank, Policy Research Working Paper,

発展途上国における企業の異質性と企業成長・企業のイノベーションの関連を検討。企業の異質性は、国際市場の開放度――輸出入、輸入のみ、輸出のみ――に応じて分類される。こうした企業の異質性が企業の成長やイノベーションに影響を与えるということが示される。利用されるミクロデータはWorld BankのEnerprise Surveyである。

2010年1月22日金曜日

Y. Gorodnichenko,et al.(2009) Globalization and Innovation in Emerging Markets

Y. Gorodnichenko, J. Svejnar and K. Terrell(2009) Globalization and Innovation in Emerging Markets

グローバリゼーション・競争の拡大とイノベーションの関係を検討。競争はイノベーションに負の効果を与える、とりわけ効率性フロンティアから遠く離れた企業のイノベーションに負の効果を与える。したがって競争がイノベーションに与える逆U字形効果を支持しない。

多国籍企業のサプライチェーンと国際貿易が国内企業のイノベーションにとって重要なチャンネルであるとということが示されている。よりビジネスフレンドリーな環境における企業が、競争とイノベーションの正の関係もしくは逆U字形の関係を示す可能性が高い、ということに関する証拠も提示

2010年1月19日火曜日

Kose,et al.(2006) How Do Trade and Financial Integration Affect the Relationship between Growth and Volatility?

M. Ayhan Kose,Eswar S. Prasad,Marco E. Terrones(2006)How Do Trade and Financial Integration Affect the Relationship between Growth and Volatility?
ちょっと古いが、ようやく読み終える。成長とボラティリティの関係を検討した実証分析のペーパー。ボラティリティと貿易統合の相互作用に関する推定された係数が有意に正であるということ。また、ボラティリティと金融的統合との相互作用に関しても類似した結果を見出している。ここから次のような含意が引き出される——「貿易・金融の統合は、成長に負の影響を与えることなしに経済がボラティリティを処理できる余地を拡大する」

2010年1月16日土曜日

postar3

postgr3
estimationコマンド後にグラフを作成するadoフィアル

Using postgr3 with multiple regression, no interactions
Using postgr3 with multiple regression, with interactions
More on options when using postgr3
postgr3 with other estimation models

2010年1月15日金曜日

nonparametric

lowess
locpr: local linear regression
kernreg

宮本太郎『生活保障』


話題の(?)、宮本太郎著『生活保障 排除しない社会へ』を読む。福祉から就労へ(welfare to work)、あるいはスウェーデンの就労原則が基本軸であり、そうした軸から雇用と社会保障を結びつける政策提言へとまとめられる。なぜ雇用と社会保障を結びつける必要があるのか、またスウェーデンのような国においてどのように結びつけられてきたのか、この2点については教えられるとこころが多い。だが、問題は最後のビジョンであろう。排除しない社会?

些末なことであるが、個人的には、本書によってはじめて"different feathers"の意味を理解できた。レーンの「殻の保障」から「翼の保障」へ、というレトリックからのもの(106,171ページ)。

2010年1月12日火曜日

Kose,et al.(2009) Thresholds in the Process of International Financial Integration

Kose,et al.(2009) Thresholds in the Process of International Financial Integration, World Bank, Policy Research WP.

金融の開放(金融市場の統合)が成長に正の効果を与えるか、負の効果をあたえるか。この点については実証的には未決の問題であるが、この論文は金融開放と成長の関連が、閾値条件次第で、正になる場合、負になる場合を示している。閾値変数としては、国内の金融市場の発達の程度、制度の質、貿易の開放あるいは政策等が取り上げられている。実証分析手法としてはノンパラメトリック、セミパラメトリックな方法が採用されている。この点も参考になる。

浜『グローバル恐慌』

浜『グローバル恐慌』を読み終える。読者の理解を促すために、レトリックが多用されているが…どうだろう? 世界金融はこんな状態ですよ、という漠然としたイメージを得ることはできるが、分かったようで分からないということになりそう。悪く言えば、うす〜い内容、よく言えばチョウ入門書として通勤電車の中で最適の読みもの。

末廣『タイ 中心国の模索』


末廣『タイ 中心国の模索』を読み終える。タイを政治、経済および社会から立体的に描く。現代のタイを知る上で好個の入門書。巻末の資料も参考になるであろう。個人的には、1997/8年の通貨危機および金融危機を中心とした経済編(第2章)が有益。クーデーターは起きないけど、日本の構造改革もタイとに似たような歴史的経路をたどっているのは面白い。もっともせ先進国は1990年代はいずれも構造改革路線であったことを考えれば、当然かあ。

2010年1月8日金曜日

stata SE ver.11 Mac版

購入してから、はじめて、使ってみた。何よりも、前バージョン(ver.8 随分長く使いました)との大きな違いは日本語が通る、ということである。グラフでも日本語が表示可能だし、do-editorでも問題なく、日本語が入る。でも、いちいち、日本語へ切り替えて使うのも面倒なので、とりあえずはコメントのさいに使用するくらいかなあ。

2010年1月6日水曜日

Abiad,et al. International Finance and Income Convergence

Abiad,et al. International Finance and Income Convergence: Europe is Different, IMf working paper, 2007.
Lucas(1990)パラドックスの実証的な検討。金融市場の統合・開放が新興経済諸国にとって便益をもたらすのか。貧困国への国際的な資本の流入は社会的に効率的である――伝統的な理解を批判。現実には、むりそ、資本の流れはuphillーー貧しい国から豊かな国へと流れる。急速に成長する新興国は、利用するよりも多くの貯蓄を生み出す。

本論文はヨーロッパについては資本の流れがdownhillであり、ヨーロッパ諸国の収斂化過程を促進している、ということを示す。この収斂化過程は、豊かになるつれて、その効果を低下させる。図6、図8の等高線を参照。交互作用項を等高線を使ってビジュアル化している。

Amable, et al.,Product market regulation, innovation, and distance to frontier

Amable, et al.,Product market regulation, innovation, and distance to frontier, Industrial and Corporate Change, 2009.
リスボン戦略で提示されたような、製品市場規制がイノベーションに負の効果を与える、という議論を批判。製品市場規制とイノベーションの関連は、distance to frontierに依存する。これが縮まるにつれて、負の効果が強まる。Aghionモデルの拡張?

Almeida, Openness and Technological Innovation in East Asia

Almeida, Openness and Technological Innovation in East Asia: Have They Increased the Demand for Skills? IZA Discussion Paper No.4474, 2009.
東アジアにおける国際的な統合(貿易の開放)と新技術の採用が、熟練労働者の需要を高める、ということを実証的に、しかも、企業レベルのデータを用いて分析した論文。開放・技術採用の上昇→熟練労働者の需要増というリンクは中程度所得水準の国にしか妥当しない。低所得国や中国には、そうした関連は妥当しない。市場開放、技術導入および熟練労働者への需要の関連を考える上で興味深い論文。