2008年5月31日土曜日

Two decades of structural reform in Denmark: a reviw

Soren Gaard and Mads Kieler(2005), Two decades of structural reform in Denmark: a reviw.
1980年代以降の、デンマークの労働市場改革と福祉制度改革を展望した論文。制度改革の経緯が簡潔にまとめられている。改革のインパクトの評価はOECD19カ国のパネルデータ(失業率を、労働市場制度、製品市場規制、税制等に回帰)を利用し、パラメータを推定した上で、デンマークのケースに適用し、デンマークの制度改革の評価を行っている。

2008年5月29日木曜日

Flexicurity—Labour Market Performance in Denmark

Torben M. Andersen and Michael Svarer(2007) Flexicurity—Labour Market Performance in Denmark.

(1)デンマークの低水準の、安定的な失業は、解雇・雇用の容易さ(フレキシビリティ)と労働者の所得保障(セキュリティ)の結びつき(いわゆるフレキシキュリティ)には帰されない。
(2)労働市場パフォーマンスの改善は1990年代の一連の改革に起因:受動的な労働市場政策から積極的な労働市場政策への転換
(3)デンマークモデル:フレキシブルな解雇・雇用ルール、寛大な社会的セーフティネットおよび積極的な労働市場政策

workfare ≒ Activation program

雇用変動指標

Relative employment variability=雇用成長の標準偏差/実質GDPの標準偏差

job securityは近年数の長さ

2008年5月27日火曜日

Labour mobility, relatted variety and the performacne of plants: A Swedish study

Ron Boschma, Rikard Eriksson and Urban Lindgren、Labour mobility, relatted variety and the performacne of plants: A Swedish study、Papers in Evolutionary Economic Georgraphy #08.09

企業パフォーマンス←労働移動。プラスの効果をもたらすのは移動する労働者の技能ポートフォリオと異動先企業の技能ベースとの補完性があるかどうかが重要。このペーパーの面白いところは、流動的な労働市場においてさえ、労働者の技能と企業の既存の技能ベーストとが補完的でなければ、企業パフォーマンスが改善されないというところか。また、技能ポートフォリオ尺度はエントロピーを利用。

2008年5月26日月曜日

Employment in Europe and the Concept of 'Flexicurity': Some Notes

Luca Nunziata, Employment in Europe and the Concept of 'Flexicurity': Some Notes
October 2006
「フレキシブルではることは、オランダやデンマークの例が示すように、かならずしも不安定であることを意味しない。実際にわれわれが関心を持つのは、職の保障job securityというよりもむしろ雇用の保障employment securityである。この目的は、職の保護を緩めると同時に失業給付システムと、失業者の再雇用支援を意図した積極的政策を改善することである。」

フレキシビリティの上昇→中位の投票者の支持→失業給付の提供(雇用保護)

「労働市場へのフレキシキュリティアプローチには製品市場における競争の拡大努力を伴うべきである。具体的には、起業活動への障壁を取除くことが、職の創出率を高め、したがって、より不安定な職の環境において失業者の機会を拡大するであろう。」

2008年5月20日火曜日

Labor Market Institutions, wages, and Investmetn: Review and Implications

Pischke, J.(2005) Labor Market Institutions, wages, and Investmetn: Review and Implications.
労働市場制度(賃金圧縮/賃金の不平等)、企業の人的資本(訓練)と物理的資本への投資決定の関連を検討。「労働市場制度したがって賃金圧縮がより重要である経済では、一般的に、低熟練労働者への企業による投資が相対的に大きい。賃金圧縮が欠落している経済では、投資は高熟練労働者へとシフトする傾向にある。」

2008年5月14日水曜日

Labour Market Institutions and the Personal Distribution of Income in the OECD

Daniele Checchi and Cecilia Garcis Penalosa(2005) Labour Market Institutions and the Personal Distribution of Income in the OECD, IZA Discussion Paper.

(1)失業、労働シェア、熟練労働者と不熟練労働者の相対賃金を、労働市場制度の関数としてモデル化。熟練労働者の賃金設定は効率賃金仮説、不熟練労働者の賃金決定は労組と企業との交渉モデルによって定式化。(2)次いで、モデルに登場する4つの主体ーー熟練労働者、不熟練労働者、失業者、資本を持つ労働者ーーの個人所得のジニ係数が、上の3つの変数によって表現される。これにより、労働市場制度が所得分配に与える影響を考察しうる理論モデルが形成される。

こうしたモデルにもとづき、1970-96年のOECD経済のパネルデータを利用した計量経済分析が行なわれる。

2008年5月12日月曜日

PEWGLOBAL

世界的に実施されている世論調査プロジェクト

昼休みにジムへ。1500を3本、ウェイトを2周り、1時間半ほど汗を流す。

『サブプライム問題の正しい考え方』

倉橋・小林著『サブプライム問題の正しい考え方』を読み終える。「証券化はリスクを分散する金融技術であったが、結果としては分散化したことでリスクの所在と規模が把握しにくくなり、問題を拡散させてしまった」 住宅ローンの証券化市場の優れた紹介。第2章「焦げ付いたサブプライムローン」と第3章「国際金融市場への波及」は、金融技術が進み一般には理解しがたい住宅ローン証券市場の概要およびサブプライムローン問題をやさしく解説。専門家としての力量の高さが伝わってくる。それでも通勤電車の中で読むにはつらいかもしれない。最後の章においては、それまでの冷静な分析とちょっとかわって日本経済の将来を憂う著者たちの熱い思いが伝わる。なぜアメリカのヒスパニックら低所得者層はあんなとんでもない金利の住宅ローンを選択するんだと笑っていたが、3年固定金利なんてものも日本でもはやるんだから笑ってられません。

2008年5月9日金曜日

Income Inequality, Poverty and Social Spending in Japan

Randall Jones(2007),Income Inequality, Poverty and Social Spending in Japan. OECD Econ.Dep.Working Paper No.556.
日本における生産年齢人口の間での所得の不平等と相対的貧困が、OECD平均を超えて、急速に上昇していることを指摘。その主たる原因が、高齢化以上に、労働市場の二重化すなわち非正規労働者に起因すると指摘。

Do Unemployment Benefits Promote or Hinder Structural Change?

Boeri and Macis(2008), Do Unemployment Benefits Promote or Hinder Structural Change? これまで失業給付は失業を引き上げると理解されていたが、彼らは失業給付がjob reallocationに与える効果に注目する。UBが雇用創出、雇用消失、農業部門、サービス部門に与える効果を、OECDのパネルデータを作成し、検討。そのさい、UBは(0,1)であり、失業給付制度の存在は1、それ以外は0。動学バージョンも検討。雇用創出・消失変数の作成、給付制度が雇用再配分に与える効果の分析手法は参考になる。

2008年5月8日木曜日

LABORSTA Internet

ILO, LABORSTA Internet Statistics ILO提供の労働統計、しばらく見ないうちに、かなり整備されてきている。掲載データは以下のとおり。

(1)Total and Economically Active Population
(2)Employment, Unemployment
(3)Hours of Work
(4)Wages
(5)Labour Cost
(6)Consumer Price Indices
(7)Occupational Injuries
(8)Strikes and Lockouts
(9)Other

Labor Market Regulation: Motives, Measures, Effects

Bertola, Giuseppe(2008), Labor Market Regulation: Motives, Measures, Effects, Report produced in the framework of the ILO project on The Economic Impact of International Labour Standards.
労働市場制度に関する理論的根拠および実証分析を展望した論文。ここの制度についての検討もあり。労働市場の規制の理論的根拠は労働市場や金融市場の不完全性に求められる。興味深い点:Bertolaの基本的なアイデアは、労働市場制度が不効率の金融制度の代替という点か? 

2008年5月7日水曜日

Unions and labour market institutions in Europe

Daniele Checchi and Claudio Lucifora(2002), Unions and labour market institutions in Europe, in Economic Policy, 2002.随分と古いが面白い論文である。

(1)労働組合を労働市場リスクから労働者を守る保険的機能を担うものとして理解。なお、従来の見方 rent-seekingな労組の理解を労組のbad viewとラベルづけている。
(2)労働組合組織率=経済的要因+制度的要因(GLSを利用)によって、労働組合と補完的もしくは代替的な制度を検出
(3)主成分分析を利用し、各国の制度的構図(労組に補完的か、代替的か)を示す。また、同じことを期間についても示す。

失職リスクの代理指標

失職リスクの代理指標としての失業水準の効果の役割は、3カ年移動の失業率の標準偏差によって捉えられる。

Product Market Rentの代理指標

いくつかの変数によって代理
(1)share of public sector employment
(2)indicators of market regulation
(3)degree of openness to international trade
(4)wage share on the gross domestic product

2008年5月5日月曜日

国際金融のトリレンマ

①為替の安定、②金融政策の独立性、③国際的な、資本の自由移動

<<金本位制の時代>>
 -為替の安定と資本の自由な移動は満たされていたが、金が国境をまたいで自由に移送されるために金融政策の独立性は保たれていなかった。
<<第2次世界大戦後のブレトンウッズ体制>>
 -固定相場制と金融政策の独立性を確保するために、短期的な資本の移動を制限
<<現在の為替相場制度>>
 -為替の安定よりも、金融政策の独立性と資本の自由な移動を優先。資本移動が大きくなると、介入により為替レートを安定化させることは時事上不可能
『アメリカの経済政策』(86)

2008年5月3日土曜日

Andre Sapir, Globalization and the Reform of European Social Models

Andre Sapir(2006), Globalization and the Reform of European Social Models, JCMS 2006 Vol.44, No.2, pp.369-90.
つまらない論文。興味深い点はBoeri(2002)の紹介部分だけ。所得と貧困の不平等の低下、労働市場リスクに対する保護、労働市場参加の報酬の観点から、ヨーロッパの社会モデルを4つに分類。EPL-UBのトレードオフ(Fig.2).インサイダーはUBよりもEPLを選好。

中尾武彦著『アメリカの経済政策』


中尾武彦著『アメリカの経済政策 強さは維持できるのか』を読み終える。新書にもかかわらず、時間がとれず、ちょっと長くかかってしまいました。1990年代のアメリカ経済と政策スタンスを網羅した、バランスのとれた紹介。さすが官僚。IMFへの出向経験があるだけに、金融関係の部分がとりわけ面白い。「変革の進む金融セクタ―とその政策」。3章のマクロ経済政策の視点も面白い。政策スタンスの収斂(新古典派的)とトリレンマの紹介は啓蒙的でしょう。

2008年5月1日木曜日

Melody Gardot

Coool!久しぶりにしびれました。ジャッケトも素敵。メロディ・ガルドと訳されているけど、YouTubeのインタビューを聞いていると、Gardotはガードと聞こえる。まあ、Rだからね。また、彼女のサイトも素敵です。WikipediaのMelody Gardotの紹介です。ざっと訳すとこんな感じでしょうか「1985年、ニュージャージーに生まれ、19歳に自転車に乗っていたとき自動車事故にあい身障者となる。この事故は悲劇であったが、これがきっかけで注目すべきミュージシャンとして認められるようになる。彼女が音楽を始めたのは主治医の勧めからであった。事故のさいに頭部に受けた損傷のために認知障害が発生するのではと心配したからであった。主治医は音楽が脳の損傷を劇的に改善するだろうと信じていた。(中略)医師の提案にしたがって、Melody Gardotはレコーディングをはじめた。そのときはまだ歩くことができなかったが、Some Lessons the Bedroo Sessionsというタイトルのドーナツ版をリリースした。快方に向けた彼女の意志は、少しばかりの幸運も相俟って、パブリックラジオ放送局WXPN、AAA(アダルト・アルバム・オールタナティブ)のローカルラジオのDJの目にとまった。同局はAmos LeeやNorah Jones等のアーティストにとってキャリアの出発点として知られている。Melody Gardotはすぐさま「天才シンガーソングライター」として人々の尊敬を集めるようになった。それは驚くべき音楽性はもちろんのこと、不幸にもかかわらず彼女が賞賛すべき勇気を示したからであった。」