2011年2月25日金曜日

鈴木亘著『財政危機と社会保障』


鈴木亘著『財政危機と社会保障』。本書はばらばらに論じられることの多い、財政赤字の累積と社会保障制度の行き詰まりの全体像を、簡潔かつ明快に描いたもの。著者の主張は「社会保障関係費」の削減にあり、そのことが保険制度としての社会保障制度、言い換えれば身の丈にあった社会保険制度が展望できると同時に、財政再建への道も開かれるということか。個人的に面白かったのは、産業連関表分析を「大昔の経済学」と切って捨て、医師会のシンクタンクの医療・介護の経済波及効果分析を徹底して馬鹿にしているところと、成長戦略としての「強い社会保障」はマクロ的にはありえないと批判している箇所である。著者の批判がとくに鋭さを増すのは、典型的な規制産業たる医療・介護産業(成長産業になりえない)と既得利益に固執する医療関係団体を論じるときである。

2011年2月20日日曜日

『財界の正体』


川北隆雄著『財界の正体』を読む。等身大の財界エリートを描くということで経団連等の経営者の中央3団体を描く。とくに面白いのは第3章であろうか。同章は、小泉政権下で財政諮問会議や宮内・規制改革会議において財界がどのように経済政策の過程に関与したかを描いている。とくに宮内規制改革会議のでたらめさを描いている点が面白い。自社の利害に関わる派遣業界の関係者が、派遣に対する規制制度を審議する会議に3人も入るというあまりにいびつな構成である。財界傍流宮内が引退後も、依然として厚顔無恥にマスコミに登場する某社社長の行動は恥も外聞もないか。

2011年2月15日火曜日

『マクロ経済学をつかむ』

竹田・小巻著『マクロ経済学をつかむ』
ミクロ経済学との統一性を重視し、重複世代モデルを基礎にしたマクロ経済学の教科書。2006年の出版と古いが、ちょっと変わったマクロ経済学の教科書として面白い。

2011年2月14日月曜日

Algan et al.(2011) Efficient and inefficient Welfare State

Algan et al.(2011) Efficient and inefficient Welfare State, IZA Discussion Paper.
・”信頼”が再分配需要を説明するにあたって重要な役割を果たすということを強調
・福祉国家の各国の相違—社会支出水準、透明度等の相違—を説明するにあたって、所得分布のような経済変数よりも信頼の効果を強調

(1)最初に、OECD各国の福祉国家水準と信頼の関係において、非単調的な関係を確認→3種類の福祉国家
(2)(1)の現象を説明する経済モデル:社会におけるシビック個人とアンシビック個人のシェアに注目したモデル
(3)信頼度変数はWorld Value Survey, 透明度はTransparency Internationalから。
(4)福祉国家需要(への支持)は、第4回ヨーロッパ社会調査のデータを利用

2011年2月13日日曜日

河村健吉著『影の銀行』


河村健吉著『影の銀行ーもう1つの戦後日本金融史ー』を読む。副題の方がこの本の内容を的確に示している。基本的な論調は経済・社会の金融化に対する批判にある。長年実務に携わって来た著者だけに金融技術にも詳しく、金融を学ぶ者にとって有益であるかもしれない。現実に裏打ちされた批判も興味深い。しかし、文章が硬く(文章表現が拙い?)、また、本筋から離れるエピソードが話の流れを見失わせることがたびたびある。通勤電車の中のお供としては退屈かもしれない。また専門的な金融用語のせいで、残念ながら、この手の知識を持たない読者を遠ざけてしまうかもしれない。

2011年2月11日金曜日

Green HornetとRED



B級娯楽映画を楽しむ。Green Hornetは期待はずれ。3Dもほとんど意味なし。客もほとんどいなく、世間は厳しい。REDはほぼ期待どおりで楽しんで観ることができた。だが、こちらも客はまばら。ターゲットとする年齢層が難しいかも。

2011年2月10日木曜日

World Bank Open Database

Stataモジュール:wbopendata
 世銀のデータベースからデータのダウンロードを可能にするモジュール。世銀のデータベースにはDoing Business, Education Statistics, Enterprise Surveys等が含まれる。1960年以降、256以上の国・地域をカバー

『経済学で使う微分入門』


川西諭著『経済学で使う微分入門』。微分に焦点を絞った経済数学入門書。ありそうでなかった入門書です。丁寧に説明されており、ミクロを学ぶ際には役に立ちそう。ということで推薦書の1つに追加。