Federico Gingano,Marco Leonardi,Julian Messina,Giovanni Pica (2010) The effects of employment protection legislation and financial market imperfetions on investment: evidence from a firm-level panel of EU countries
Economic Policy, January 2010 pp.117-163.
ようやく読み終える。随分、時間がかかってしまった。雇用保護法制(EPL)が資本・労働比率、投資および労働生産性に与える効果を検討したもの。これまでの議論に比べ、2つの点で興味深い。第1に、金融市場の不完全性とEPLのjoint効果を検討している点、第2に、ミクロデータを利用している点。説明のロジックと主張は以下のとおり:
(1)EPLは労働のは再配分に影響を与える。労働を調整するコストの上昇→採用、解雇の低下⇨ジョブフローのスローダウン
(2)EPLによって誘発された労働の再配分の不完全性は投資に影響を与える。企業が「調節の難しい」労働要素に代えて調整の容易な他の生産要素――すなわち資本――を利用しようとするため。
(3)しかし、資本利用は、企業の直面する流動性制約によって阻害されるかもしれない。(←まあ、これがミソです)