2010年1月29日金曜日

Murat Seker, Importing, Exporting and Innovation in Developing Countries

Murat Seker(2009), Importing, Exporting and Innovation in Developing Countries, The World Bank, Policy Research Working Paper,

発展途上国における企業の異質性と企業成長・企業のイノベーションの関連を検討。企業の異質性は、国際市場の開放度――輸出入、輸入のみ、輸出のみ――に応じて分類される。こうした企業の異質性が企業の成長やイノベーションに影響を与えるということが示される。利用されるミクロデータはWorld BankのEnerprise Surveyである。

2010年1月22日金曜日

Y. Gorodnichenko,et al.(2009) Globalization and Innovation in Emerging Markets

Y. Gorodnichenko, J. Svejnar and K. Terrell(2009) Globalization and Innovation in Emerging Markets

グローバリゼーション・競争の拡大とイノベーションの関係を検討。競争はイノベーションに負の効果を与える、とりわけ効率性フロンティアから遠く離れた企業のイノベーションに負の効果を与える。したがって競争がイノベーションに与える逆U字形効果を支持しない。

多国籍企業のサプライチェーンと国際貿易が国内企業のイノベーションにとって重要なチャンネルであるとということが示されている。よりビジネスフレンドリーな環境における企業が、競争とイノベーションの正の関係もしくは逆U字形の関係を示す可能性が高い、ということに関する証拠も提示

2010年1月19日火曜日

Kose,et al.(2006) How Do Trade and Financial Integration Affect the Relationship between Growth and Volatility?

M. Ayhan Kose,Eswar S. Prasad,Marco E. Terrones(2006)How Do Trade and Financial Integration Affect the Relationship between Growth and Volatility?
ちょっと古いが、ようやく読み終える。成長とボラティリティの関係を検討した実証分析のペーパー。ボラティリティと貿易統合の相互作用に関する推定された係数が有意に正であるということ。また、ボラティリティと金融的統合との相互作用に関しても類似した結果を見出している。ここから次のような含意が引き出される——「貿易・金融の統合は、成長に負の影響を与えることなしに経済がボラティリティを処理できる余地を拡大する」

2010年1月16日土曜日

postar3

postgr3
estimationコマンド後にグラフを作成するadoフィアル

Using postgr3 with multiple regression, no interactions
Using postgr3 with multiple regression, with interactions
More on options when using postgr3
postgr3 with other estimation models

2010年1月15日金曜日

nonparametric

lowess
locpr: local linear regression
kernreg

宮本太郎『生活保障』


話題の(?)、宮本太郎著『生活保障 排除しない社会へ』を読む。福祉から就労へ(welfare to work)、あるいはスウェーデンの就労原則が基本軸であり、そうした軸から雇用と社会保障を結びつける政策提言へとまとめられる。なぜ雇用と社会保障を結びつける必要があるのか、またスウェーデンのような国においてどのように結びつけられてきたのか、この2点については教えられるとこころが多い。だが、問題は最後のビジョンであろう。排除しない社会?

些末なことであるが、個人的には、本書によってはじめて"different feathers"の意味を理解できた。レーンの「殻の保障」から「翼の保障」へ、というレトリックからのもの(106,171ページ)。

2010年1月12日火曜日

Kose,et al.(2009) Thresholds in the Process of International Financial Integration

Kose,et al.(2009) Thresholds in the Process of International Financial Integration, World Bank, Policy Research WP.

金融の開放(金融市場の統合)が成長に正の効果を与えるか、負の効果をあたえるか。この点については実証的には未決の問題であるが、この論文は金融開放と成長の関連が、閾値条件次第で、正になる場合、負になる場合を示している。閾値変数としては、国内の金融市場の発達の程度、制度の質、貿易の開放あるいは政策等が取り上げられている。実証分析手法としてはノンパラメトリック、セミパラメトリックな方法が採用されている。この点も参考になる。

浜『グローバル恐慌』

浜『グローバル恐慌』を読み終える。読者の理解を促すために、レトリックが多用されているが…どうだろう? 世界金融はこんな状態ですよ、という漠然としたイメージを得ることはできるが、分かったようで分からないということになりそう。悪く言えば、うす〜い内容、よく言えばチョウ入門書として通勤電車の中で最適の読みもの。

末廣『タイ 中心国の模索』


末廣『タイ 中心国の模索』を読み終える。タイを政治、経済および社会から立体的に描く。現代のタイを知る上で好個の入門書。巻末の資料も参考になるであろう。個人的には、1997/8年の通貨危機および金融危機を中心とした経済編(第2章)が有益。クーデーターは起きないけど、日本の構造改革もタイとに似たような歴史的経路をたどっているのは面白い。もっともせ先進国は1990年代はいずれも構造改革路線であったことを考えれば、当然かあ。

2010年1月8日金曜日

stata SE ver.11 Mac版

購入してから、はじめて、使ってみた。何よりも、前バージョン(ver.8 随分長く使いました)との大きな違いは日本語が通る、ということである。グラフでも日本語が表示可能だし、do-editorでも問題なく、日本語が入る。でも、いちいち、日本語へ切り替えて使うのも面倒なので、とりあえずはコメントのさいに使用するくらいかなあ。

2010年1月6日水曜日

Abiad,et al. International Finance and Income Convergence

Abiad,et al. International Finance and Income Convergence: Europe is Different, IMf working paper, 2007.
Lucas(1990)パラドックスの実証的な検討。金融市場の統合・開放が新興経済諸国にとって便益をもたらすのか。貧困国への国際的な資本の流入は社会的に効率的である――伝統的な理解を批判。現実には、むりそ、資本の流れはuphillーー貧しい国から豊かな国へと流れる。急速に成長する新興国は、利用するよりも多くの貯蓄を生み出す。

本論文はヨーロッパについては資本の流れがdownhillであり、ヨーロッパ諸国の収斂化過程を促進している、ということを示す。この収斂化過程は、豊かになるつれて、その効果を低下させる。図6、図8の等高線を参照。交互作用項を等高線を使ってビジュアル化している。

Amable, et al.,Product market regulation, innovation, and distance to frontier

Amable, et al.,Product market regulation, innovation, and distance to frontier, Industrial and Corporate Change, 2009.
リスボン戦略で提示されたような、製品市場規制がイノベーションに負の効果を与える、という議論を批判。製品市場規制とイノベーションの関連は、distance to frontierに依存する。これが縮まるにつれて、負の効果が強まる。Aghionモデルの拡張?

Almeida, Openness and Technological Innovation in East Asia

Almeida, Openness and Technological Innovation in East Asia: Have They Increased the Demand for Skills? IZA Discussion Paper No.4474, 2009.
東アジアにおける国際的な統合(貿易の開放)と新技術の採用が、熟練労働者の需要を高める、ということを実証的に、しかも、企業レベルのデータを用いて分析した論文。開放・技術採用の上昇→熟練労働者の需要増というリンクは中程度所得水準の国にしか妥当しない。低所得国や中国には、そうした関連は妥当しない。市場開放、技術導入および熟練労働者への需要の関連を考える上で興味深い論文。