2008年4月28日月曜日

Institutions and Wage Determination: a Multi-country Approach

Luca Nunzaita,Institutions and Wage Determination: a Multi-country Approach, Oxford Bulletin of Econoics and Statistics, 67(4)(2005)

1960-1994年のOECD諸国における労働コストと労働市場制度の関連を検討。労働コスト=失業率+労働市場制度をGLSで推定。
計量モデルのいくつかには賃金交渉制度にもとづいて分類した国グループのダミー変数も導入。各種のテスト(poolability, heteroskedasticity, unit root, cointegration)、またダイナミックシミュレーションの手法は有益か。結論は比較的常識的。Nickell, Nunziata and Ochel(2005)ーー失業と制度の関連を検討ーーに対応する論文。

2008年4月26日土曜日

OECD Employment Outlook 2006 (2)


OECD Employment Outlook 2006の翻訳が出ていたことに今頃気づく。1年おくれで…。最近、日本語の文献をほとんど見ないという悪癖を反省。『世界の労働市場改革 OECD新雇用戦略 雇用の拡大と質の向上、所得の増大をめざして』。OECDの分析・提言に賛成するにしても、反対するにしても、読むべき価値あるとても有益な翻訳である。オリジナルは飛ばし読みだから、あらためて通して読んでみることにしましょう。

2008年4月22日火曜日

The Role of Labor-Market Changes: In the Slowdown of European Productivity Growth

Ian Dew-Becker, Robert J. Gordon(2008) The Role of Labor-Market Changes: In the Slowdown of European Productivity Growth.を読み終える。

1995年以降のEUの雇用成長の復活と生産性成長の鈍化
 ←説明変数:6つの政策変数(税のくさび、雇用保護立法、製品市場規制、失業保険の平均補償率、労働組合組織率、および「高コーポラティズム」指標)+1995年時間ダミー

1.時間ダミーが有意:女性の労働力化を受け入れる社会の変化と解釈
2.雇用の成長と生産性成長の相互作用→操作変数法、2SLSを利用。両者の負の関係

政策/制度変数が雇用と生産性に与える効果のシミュレーションの手法も示唆的。

2008年4月18日金曜日

Are Labour Market Institutions Endogenous?

Daniele Checchi and Luca Nunziata(2007) Are Labour Market Institutions Endogenous? An Investigation of Unemployment, Unions and Wages.

これまでの労働市場の制度研究が、制度→労働市場パフォーマンスに焦点が置かれていたが、この論文は制度(労働組合組織率)の内生性を明示的にモデル化したものである。方程式体系、3SLSを利用し、労働市場パフォーマンス(失業)との相互作用を計量的に分析した論文。また、Hall & Soskcie, Amableらの研究も取り入れ、係数の異質性をとりあげている。失業と組織率の間に存在するフィードバック効果にもとづいて、各国を分類。興味深い論文。

2008年4月16日水曜日

Employment Patterns in OECD Countries

Andrea Bassanini, Romain Duval, (2006) Employment Patterns in OECD Countries: Reassessing The Role of Policies And Institutions, OECD Economics Department Working Papers No.486.

労働市場パフォーマンス(失業および雇用)に、制度と政策(およびそれらの間の相互作用)が与える効果、またBlanchard and Wolfersにしたがった制度と外生ショックの効果に関するきわめて包括的な計量経済学的実証分析。付録の各政策、制度に関する理論の要約も有益。また、NIckell and Layardの不完全競争の枠組みの簡単な紹介もあり。

2008年4月15日火曜日

つくえと筋トレ


20年以上は使われていたと思う机を廃棄し、新しいデスクを購入。前のものより小振りだけど、引き出しがあるので、収容量が増加。部屋のスペースも拡大し、満足。でも、相変わらず、机の上はペーパーの山です。いまのテーマ(どっちにするか未だ迷い中)を終えたら、ファイルにしないと…。今日は久しぶりに筋トレに出かける。最後が半年前? 飛ばさないように慎重に身体をいじめる。以前に走りすぎて、膝を痛めたり、股関節を痛めたりしたからね〜。

2008年4月14日月曜日

Danish for All? Balancing Flexibility with Security.

Zhou Jianping, Danish for All? Balancing Flexibility with Security: The Flxicurity Model, IMF Working Paper WP/07/36.を読む。以外と面白い。デンマークモデル(フレキシキュリティモデル)の簡単な定義から始まり、失業パフォーマンスとフレキシキュリティモデルの実証分析ーーデンマークのフレキシキュリティモデルが如何にして失業率の低下に寄与したのかーー、理論的な動学モデルへと展開。

4つのキーとなるデンマークのフレキシキュリティモデルの特徴:
1)フレキシブルな労働市場:雇用保護立法の厳格さによって尺度;デンマークの労働市場は他のヨーロッパ諸国に比べ、よりフレキシブル
2)寛大な失業給付:平均的な純補償率はおよぼ80%でヨーロッパでもっとも高い
3)積極的労働市場政策への高水準の支出
4)大きな、労働所得に対する税のくさび;フレキシキュリティモデルはコストがかかる

計量分析:失業率と相関する、フレキシキュリティモデルの政策要因の確定。動学モデルでは、制度の効果を理論的に考察する場合、有益。

2008年4月12日土曜日

Labor Market Policies and Outcomes: Cross Country…

Rovelli&Bruno, Labor Market Policies and OUtcomes: Cross Country Evidence for the EU-27, IZA Discussion Paper ,No.3161, November 2007.

Boeri(2002)の4つの社会政策モデル--雇用保護-失業給付のトレードオフにもとづく分類--を批判し、社会政策の各国の相違を政策のgenerosityによって分類するもの。社会政策の寛大さは、GDPに対する社会支出によって測定(ただし、いくつのかバリエーションあり)。分析の結論:①より高い雇用者比率がより高い労働市場政策への支出、とりわけ積極的政策への支出と関係している。②高水準の雇用者比率が労働市場制度の低い硬直性の程度と関係している。

2008年4月10日木曜日

The Interaction of Labor Market Regulation and Labor Market Policies…

Eichhors and Konle-Seidl, The Interaction of Labor Market Regulation and Labor Market Policies in Welfare State Reform, 2005を読む。つまんないんで飛ばし読み。1980年代以降のヨーロッパの労働市場改革を展望。FlexibleとSecurityの観点から各国の労働市場改革を整理。巻末の改革一覧表は有益かな?

2008年4月8日火曜日

Worker Rights and Financial Stability

Weller, Mahadevan-Vijaya, and Singleton, Worker Rights and Financial Stability, RRPE,vol.35, no.3, 2003を読む。かなり昔の論文。どちらかと言えば、期待はずか。労働者の権利の上昇が金融危機の低下に寄与するという分析。両者の間のりくつがQuestion.理論なき計量か。手法はロジット分析。従属変数:金融危機は2項変数(金融危機の時代=1、それ以外=0)、独立変数はWorker Rights+コントロール変数。それにしても、金融危機(default, maturity, exchange rate risk)はどのようにして判断しているのか、不明。何をもって金融危機の年と判断しているのか。