2008年6月30日月曜日

Efficient Estimation of Time-Invariant and Rarely Changing Variables in Finite Sample Panel Analyses with Unit Fixed Effects

Plumberadn Troeger(2006) Efficient Estimation of Time-Invariant and Rarely Changing Variables in Finite Sample Panel Analyses with Unit Fixed Effects.
(1)時間をつうじて変化しない、もしくは緩慢にしか変化しない説明変数を採用する場合の、固定効果モデルの解説
(2)

Synthetic Control Methods for Comparative Case Studies

Abadie, A. et al.(20079 Synthetic Control Methods for Comparative Case Studies.
Synth手法の解説、応用。イベントが発生した地域(や国)とそうでない国との比較のような場合に利用価値がある。Stata等のバージョンが開発されている。開発者のJens Hainmuellerのホームページからダウンロードできる。StataのSynthバージョンは基本Windowsバージョンであり、Synthをインストールした後に、synthopt.plugin をマック版(Mac universal)に置き換える必要がある。

2008年6月27日金曜日

Efficiency and equality in the labour market

Jonas Agell, Efficiency and equality in the labour market, August 25, 2003.

福祉国家、社会保険としての労働市場制度
「リスク回避的な個人にとっては、不確実は不安の種である。大半の人々にとり、人的資本はもっとも重要な資産である。だが、民間保険市場は、労働市場の多様なリスクからの保護を求める人々の需要に適合しない。とくに、非対称的情報の理由で、または人的資本に係わる長期的な保険契約を執行する問題のために、保険産業は長期的なキャリアリスクに対する保護を提供することはない。

保険市場の不在が政府の再分配政策にとっての重要な役割だという指摘は標準的な帰結である。可処分所得の分散を引き下げることによって、再分配的課税と移転のシステムは、通常のインセンティブと平等効果に加えて保険効果を提供することによって厚生を改善するかもしれない。…保険市場の不在が、課税をつうじて資金調達された福祉国家がなぜ重要な効率性目的を満たすのか、ということを説明する。それは公正と平等の観点からの標準的な正当化を超えるものである(cf. Atkinson(1991,1999), Barr(1998), Sandmo(1991,1998)。福祉国家は、経済的効率性を悪化させる課税wedgeを課すが、有権者はそうしたコストを進んで支払おうとする。それというのも、有権者は補償的な保険給付を受け取るからである。

しかし、福祉国家をつうじた所得再分配は将来の不確実性に対する保険を購入する唯一の方法ではない。保険は、稼働所得分布を縮小させるような労働市場制度をつうじても提供されうる(平等主義的な労働組合、最低賃金立法および失業保険)。…賃金分布の「小さな」圧縮からの保険給付は経済に課されたどのような効率性損失をも超える。こうした分析においては、平等主義的労働組合が自己の不熟練労働者の間に失業を創造するが、それにもかかわらず平均労働者の期待効用が、如何なる失業も存在しない自由放任経済においてよりも高くなる、ということに注目することは重要である」

Labor Market Reforms: The Evidence does Tell the Orthodox Tale

Glyn et al.(2006)Labor Market Reforms: The Evidence does Tell the Orthodox Tale.

Nickellらメインストリームの、「労働市場制度と失業の関連」に関する分析を批判。かれらの計量分析が頑健さを欠くということwを示す。Fighting Unemployment掲載論文の続編というとこか。

Do 'Liberal Market Economies' Really Innovative more Radically than ' Coorinated Market Economies'? Hall & Soskcie Reconsidered.

Do 'Liberal Market Economies' Really Innovative more Radically than ' Coorinated Market Economies'? Hall & Soskcie Reconsidered.
(1)アメリカのパテント引用データを利用し、LME=ラディカルイノベーション仮説を検討
(2)パテンドデータを利用した、技術のラディカルの程度に関する指標の作成
(3)Specialization指標の作成

Labor Market Insitutions and Unemployment in OECD Countries

Nickell, S.(2003) Labor Market Insitutions and Unemployment in OECD Countries.
(1)労働市場制度が失業に与える影響に関する研究を展望
(2)労働市場改革がどれだけ進行したか、その規制緩和の度合いとその後の失業の変化の関連を、bivariateに分析

Trade Credit and Bank Credit: Evidence from Recent Finacial Crisis

Love, Inessa, et al.(2005) Trade Credit and Bank Credit: Evidence from Recent Finacial Crisis.
(1)trade creditに対する金融危機(危機の時代をダミー変数で表現)の影響・効果を検討
(2)さらに、金融危機ダミー変数と企業もしくは国の特殊性の相互作用により、金融危機の影響・各国別相違を検討

2008年6月25日水曜日

Institutional Climate Index

CES ifo DICEにおいて提供されている制度環境インデックス(Institutional Climate Index)。詳細については同研究所からダウンロード可能なResearch Reports, Eicher and Rohn(2007), Institutional Determinants of Economic Performance in OECD Countries: An Institutional Climate Index.を参照。また、この論文は制度と経済成長をめぐる研究に対する展望論文でもある。

2008年6月24日火曜日

The Anatomy of Banking Crisis

Duttagupta and Cahin(2008), The Anatomy of Banking Crisis, iMF Working Paper.
金融危機を引き起こす要因をBinary Classification Treeの手法を使って分析.
(1)金融危機の時代の特定方法
(2)BCT分析の解釈またLogitモデルとの違い
(3)指標の解説:金融健全性指標など、銀行危機のデータソース

2008年6月23日月曜日

Financial Crisis指標

Caprio, Klingerbiel(1999), Episodes of Systemic and Borderline Financial Crisis.金融危機の指標

Banking Crisisとは以下の問題を抱える銀行セクターのepisodeとして定義される:
exhaustion of much of the capital and closure, merger, large-scale nationalization of banks
extensive bank runs
large scale liquidity support by the central bank to avoid a run on deposits

Korean Institutional Reform in Comparative Perspective

Marcus Noland and Erik Weeks(2008), Korean Institutional Reform in Comparative Perspective.

経済は先進国並み、制度は第3世界並みと言われる韓国。が、制度データで検討してみると、そうじゃないよ、という論文。韓国経済の制度改革に対する分析よりも、数量的な制度ソースに関する説明が有益か?

4つの数量的制度データソース
(1)Transparency International Corruption Perception Index(CPI)
(2)World Bank Worldwide Governance Indicators(WGI)
(3)Institute for Management Development World Competitiveness Yearbook(WCY)
(4)World Economic Forum Global Competitiveness Report(GCR)

2008年6月20日金曜日

EU KLEMS Growth and Productivity Accounts

EU KLEMS Growth and Productivity Accounts,2008が公開。EUに日本、アメリカも含まれる。データの詳細については同サイトに掲載されているMarcel Timmer, Mary O'Mahony and Bart van Ark, The EU KLEMS Growth and Productivity Accounts: An Overview, University of Groningen & University of Birmingham, March 2007.参照。なお、データはエクセル形式とテキストファイル形式の両方がダウンロード可能。

2008年6月18日水曜日

Structural Policies and Economimi Resilience to Shocks

Duval, R., J. Elmeskov and L. Vogel(2007), "Structural Policies and Economimi Resilience to Shocks ", OECD Economic Department Working Papers, No.567

(1)経済活動の循環的変動は時間をつうじて緩和されるが、しかし、ボラティリティの大きさと動態はOECD諸国間で異なる。
(2)この異質性の背後にある理由は、各国が共通のショックに直面したとき異なるresilienceの程度
(3)本論文はresilienceの相違を労働市場、製品市場および金融市場の異なった政策的枠組みと制度求める。
(4)(3)の分析にあたって、ショックの初期の増幅効果と、それを持続させる効果を識別し、各種の制度と両効果との関連が示される。

産出ギャップ<==初期ショックの増幅効果と持続効果<==制度・政策

2008年6月16日月曜日

ベイズ統計ソフト BUGS

BUGS (Bayesian inference Using Gibbs Sampling) project is concerned with flexible software for the Bayesian analysis of complex statistical models using Markov chain Monte Carlo (MCMC) methods. Windowsバージョン WinBUGSがある。

2008年6月13日金曜日

The Implications of Aging for The Structure and Stability of Financial Marketes

D' Arista(2008), The Implications of Aging for The Structure and Stability of Financial Markets.
(1)家計金融資産の変化:銀行預金から年金基金や投資信託へ
(2)そうした金融資産の価値がプロシクリカルに変動、増幅
(3)こうした金融制度の下では、家計がショックアブソーバーとなる

という点をエピソード的に説明。家計資産のvolatilityの上昇、家計のリスク・エクスポージャーの上昇

OECD(2006), " Social Safety Nets and Structural Adjustement"

OECD(2006), " Social Safety Nets and Structural Adjustement" , OECD Economic Department Working Papers, No.517,
(1)OECDの社会的セーフティネット(雇用保護法制等)を概観
(2)それが、構造調整に与える効果を検討:ショックの初期のインパクトを緩和する能力よりも、ショック後のresilienceに焦点を当てる。
(3) また、セーフティネットに基づく、各国の政策的枠組みの4分類も面白い。

2008年6月11日水曜日

Protecting Against Labour Market Risk: Employment Protection or Unemployment Benefits ?

Tito Boeri, J. Lgacio Conde-Ruiz and Vincenzo Galassso(2003), Protecting Against Labour Market Risk: Employment Protection or Unemployment Benefits ?

「なぜ各国は失業のリスクに対して個人を保護するために、異なった、雇用保護と失業保険の組合せに依存するのか。なぜそうした制度的構図から離れることが難しいのか。」―――こうした問題に対して、有権者がEPLの厳格さとUBのGenerosityに投票する政治経済的均衡モデルで分析。要点は被用者(インサイダー)と失業者(アウトサイダー)に加え、それぞれに技能水準を加えた点か。また、簡単な実証分析も行われている。そのさい技能を教育水準で代理することはどうか?

Churning

各decileによって受け取られる移転水準を、各decileに支払われる直接税水準(所得税と社会保険料)と比較することで計算。cf. Whiterford(2006), The Welfare Expenditure Debata: " Economic Myths of the Left and the Right" Revisited

2008年6月10日火曜日

Gross job flows and institutions in Europe

Gross job flows and institutions in Europe, Labour Economics, 11(2004) 469-485

(1)ジョブフローに労働市場制度が与える効果を分析
(2)企業レベルの、国際比較可能な雇用創出、雇用消失データを作成(参考になる)
(3)雇用創出と雇用消失データと労働市場制度(雇用保護、失業給付、賃金交渉の程度等)の関連を実証

結論は常識的。企業レベルのデータにもとづいたところに、この論文のアドバンテージあり。

International trade and labor -demand elasticities

Slaughter, M.J.(2001) International trade and labor -demand elasticities. かなり古い論文であるが、労働需要の弾力性を計測するさいの参考。

(1)貿易の拡大が労働市場に圧力を課しているが、それは労働の「価格」にではなく、労働の需要弾力性である。
(2)産業レベルのデータにもとづいて労働需要の価格弾力性の推定
(3)貿易、技術および制度的要因が、労働需要の弾力性に影響を与えるかどうかを検討

結論:1961-91年の期間において貿易が製造業生産労働者に対する労働需要の弾力性の上昇の原因であるかどうかを検討。彼の発見によれば、開放度のさまざまな指標が弾力性(絶対的な大きさにおいて)を引き上げたが、その結果は時間トレンドを含めた場合頑健ではなかった。言い換えれば、労働需要の弾力性は長期的に上昇し、貿易も上昇したが、少なくとも研究され期間のアメリカについては両者の間に頑健な結びつきは存在しなかった。さらに、非生産労働者に関して、労働需要の弾力性が上昇しなかったことも見出されている。

2008年6月9日月曜日

Trade and Labour Market Adjustments

Hill, Samuel(2008) Trade and Labour Market Adjustments, OECD Trade Policy Working Papers, no.64
貿易が労働需要(労働需要の弾力性等)に与えるインパクトを検討したペーパー。貿易のインパクトを輸入のpenetration、オフショアリング等によって分析。また、イギリスとフィンランドについて技能カテゴリーごとの貿易の雇用創出に対する影響も考察。この論文はOECD Employment Outlook 2007の第3章の基礎となっている分析である。

(1)労働市場のvolatility=労働需要の弾力性の上昇
(2)foreign competitionの尺度の作成方法

2008年6月5日木曜日

A Conjecture on the Explanation for High Unemployment

Oswald, Andrew J. (1996) A Conjecture on the Explanation for High Unemployment in the Industrialized Nations.

高水準の失業→低水準の労働の流動性→住宅所有率と捉え、失業を住宅所有率によって説明・実証した論文。基礎となるモデルはShapiro and Stiglitz等によって展開された効率賃金仮説、ここではCarruth et al.(1996)のバリアントを採用.重要な関係は失業とサーチ活動の関連である。サーチ活動の低下→均衡失業率の上昇。実証的には、ジョブサーチ(流動性)と住宅所有率の関係が問われる。