2008年6月27日金曜日

Efficiency and equality in the labour market

Jonas Agell, Efficiency and equality in the labour market, August 25, 2003.

福祉国家、社会保険としての労働市場制度
「リスク回避的な個人にとっては、不確実は不安の種である。大半の人々にとり、人的資本はもっとも重要な資産である。だが、民間保険市場は、労働市場の多様なリスクからの保護を求める人々の需要に適合しない。とくに、非対称的情報の理由で、または人的資本に係わる長期的な保険契約を執行する問題のために、保険産業は長期的なキャリアリスクに対する保護を提供することはない。

保険市場の不在が政府の再分配政策にとっての重要な役割だという指摘は標準的な帰結である。可処分所得の分散を引き下げることによって、再分配的課税と移転のシステムは、通常のインセンティブと平等効果に加えて保険効果を提供することによって厚生を改善するかもしれない。…保険市場の不在が、課税をつうじて資金調達された福祉国家がなぜ重要な効率性目的を満たすのか、ということを説明する。それは公正と平等の観点からの標準的な正当化を超えるものである(cf. Atkinson(1991,1999), Barr(1998), Sandmo(1991,1998)。福祉国家は、経済的効率性を悪化させる課税wedgeを課すが、有権者はそうしたコストを進んで支払おうとする。それというのも、有権者は補償的な保険給付を受け取るからである。

しかし、福祉国家をつうじた所得再分配は将来の不確実性に対する保険を購入する唯一の方法ではない。保険は、稼働所得分布を縮小させるような労働市場制度をつうじても提供されうる(平等主義的な労働組合、最低賃金立法および失業保険)。…賃金分布の「小さな」圧縮からの保険給付は経済に課されたどのような効率性損失をも超える。こうした分析においては、平等主義的労働組合が自己の不熟練労働者の間に失業を創造するが、それにもかかわらず平均労働者の期待効用が、如何なる失業も存在しない自由放任経済においてよりも高くなる、ということに注目することは重要である」

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